下肢静脈瘤に関する海外の論文

伏在静脈の血管内ラジオ波焼灼術後に発生する深部静脈血栓症:この合併症は予見可能か?

研究背景

血管内ラジオ波焼灼術は、逆流性伏在静脈に伴う静脈瘤に対する、安全かつ効果的な治療法である。この治療の合併症としては、深部静脈血栓症が良く知られている。本研究の目的は血管内ラジオ波焼灼術後に発生する深部静脈血栓症の発生頻度を示し、発生の要因となる因子について検討を行うものである。

方法

2008年12月から2011年12月にかけて、前向きに経過観察のなされたデータを集積し、後方視的に分析を行った。単一施設において、VNUS ClosureFast カテーテル(VNUS Medical Technologies社、サンホセ、カリフォルニア)を用いて、総数で連続277例の血管内ラジオ波焼灼術がなされた。すべての患者において、手術の2週間後に血管超音波検査が行われた。血管内ラジオ波焼灼術後の深部静脈血栓症の発生に関与する因子として、以下の項目に対し、検討がなされた:大伏在静脈の治療か小伏在静脈の治療か、左側の治療か右側の治療か、ラジオ波焼灼が何サイクル行われたか、凝固能の亢進状態、深部静脈血栓症の既往、喫煙の有無、現在の内服薬(避妊薬、アスピリン、ワーファリン、クロピトグレルなど)、浅在静脈と深在静脈間の結合部における静脈径。

結果

女性患者が72%を占め、56%が右側の足の治療、86%が大伏在静脈に対する治療であった。治療を受けた患者の平均年齢は54+14歳(23~88歳)で、3%の患者で術前に凝固能の亢進が指摘されており、8%では過去に深部静脈血栓が指摘されていた。術後の超音波検査で、静脈の閉塞を伴わずに血栓の深部静脈内へ突出している状態(血管内焼灼術に伴うと思われる血栓症)が11例(4%)で、また、大腿静脈や膝窩静脈の完全閉塞を伴う血栓症として定義される、深部静脈血栓症は2例(0.7%)で認められた。術後の深部静脈血栓症の発生に関与する因子としては、深部静脈血栓症の既往のみが有意に相関する因子であった(P=0.018)。統計学的な有意差は認められなかったものの、小伏在静脈に対する治療では、深部静脈血栓症を合併しやすい傾向が認められていた。血管内焼灼術に伴うと思われる血栓症の発生に関与する因子としては、男性(P=0.02)、小伏在静脈に対する治療(P=0.05)、アスピリンの使用(P=0.008)、第5因子ライデン異常症が有意に相関した。

結論

逆流性伏在静脈に伴う静脈瘤によって様々な症状を有する患者に対する血管内ラジオ波焼灼術では、深部静脈血栓を合併する可能性が、少ないながらも確実に存在する。本研究では、血管内ラジオ波焼灼術後の深部静脈血栓症の発生は、過去に深部静脈血栓症の既往のある患者で、有意に高率であり、小伏在静脈に対する治療で多い傾向にあった。こうした患者では、治療に伴い抗凝固療法を行うことが、血管内ラジオ波焼灼術後の深部静脈血栓症の発生を減らすために有効な可能性があり、考慮されるべきであろう。深部静脈血栓を伴わずに血栓が静脈内へ突出している状態は、男性患者、小伏在静脈に対する治療、アスピリンの使用、第5因子ライデン異常症で、発生が増加することが判明した。血管内ラジオ波焼灼術後に発生する深部静脈血栓症に、有意に相関する因子を予測するためには、さらなる前向き研究が必要と思われる。

ジャーナル

Ann Vasc Surg: 2014 Apr;28(3 ):679-85 Deep venous thrombosis after saphenous endovenous radiofrequency ablation: is it predicatble?